2日目は早朝まだ暗いうちに集合し、貸切バスに乗ってFabLab発祥の地「Vigyan Ashram」を目指します。
バスでおよそ2〜3時間かかるよと言われておりましたが、休憩含めて4時間ほどかかって目的地に到着しました。
到着すると、大勢の方にドラムやチャイやお清めの儀式(?)で盛大におもてなししてもらいました。20年ほど前に中国の山村に行った時、大きな爆竹でおもてなししてもらったのを思い出しました。
頭には白い帽子、おでこに赤い染料をつけてもらい、無事に入村を許されました。
入り口の脇にポツンと立っていたこの建物。ここがFabLabゼロとも呼ばれる最初のファブラボです。創始者の方は亡くなってしまいましたが、現在も当時の間取りのまま村の中心施設として使われていました。
(なんとなくですねぇ、建物だけで言えばFabLab浜松も似たような雰囲気が出ているなぁと思ったわけです。)
この村は、全体としてサステイナブルな生活を目指して設計されており様々な工夫があちらこちらに施されています。
まずはトイレ。
男性用トイレしか見られませんでしたが、屎尿は全てタンクにつながっており、回収されます。
日本で汲み取り式のトイレというと、まず臭いイメージがありますが、ここでは臭いはあまり気になりませんでした。
大きい方は確認し忘れてしまいました。。。
集められた屎尿、そして飼っている家畜の糞尿、さらに生活から出る生ゴミはこのタンクの中に貯められて微生物の力でバイオガスを生成しています。
ここで作られたバイオガスは、村の中で煮炊きに使われているそうです。
村の周辺をあたりを案内してくれているとき、ごみ捨て場のようなところを案内されました。そこには金属の破片が積まれていました。ここに集められているものは、これまでの数多くのプロジェクトの残骸だそうです。
「これらは失敗作だ」と笑って紹介されたことに、失敗に対する前向きなイメージを持っているんだなと感じました。
僕が、この中で一番関心したプロジェクトです。
大型のソーラークッカーです。関心した点というのは、これだけ大きなものを形にしたという点、パラボラの曲線が綺麗に再現されていた点、そして、そこでコンデンスミルクを作って街に売りにいくというビジネスモデルを作ろうとしているという点です。
また、この中心に置かれた装置は、ソーラーバッテリーで発電してモーターを回してミルクを絶えずかき混ぜる装置です。コンデンスミルクを作るためには、焦げ付かないように長時間加熱しつつ、かき混ぜ続ける必要があるのですが、このソーラークッカーはその両方を太陽熱から得たエネルギーでこなしてしまおうという点にも関心しました。
と、思って隣に置かれているものを見てみると、さらに大きなソーラークッカーが、、、
こちらは現在建設中のものだそうで、料理などを行いたいと話してくれました。
村のあちこちには数多くのプロトタイプの数々、、、たくさんありすぎて全てのプロトタイプの詳細を聞くことはできませんでした。
これは雑草とりの道具だそうです。
電源のないところで携帯を充電するための発電装置。
これは「3 Idiots」というインド映画の中で使われたバイクです。映画の中でも発明村が登場し、そこで作られた面白バイクという設定で登場しました。
こちらでは、廃材を利用して日用品を作ろうというプロジェクト。ペットボトルを使った卓上掃除機や、ライターを使った持ち運びできる半田ごてなどなどを紹介してもらいました。
ヤギもいます。
最小の資源で、最大の空間を確保するというジオデシックドーム。フレームの素材は鉄のアングルで出来ています。中では最小の水資源を効率良く植物に届ける点滴灌漑や、温度の調整のためのファン、気温センサが配置されていました。
農業のプロジェクトで、もう一つ目を張るものがあったのが「アクアポニクス」の実験場。棚田のようにも見える段々に形成された水耕栽培の池と、一番下にある魚の泳ぐ大きな池で構成され、最下部の水を上までポンプで汲み上げて水を循環させています。
アクアポニクス自体はDIYのプロジェクトの定番としていろいろな例をみますが、ここまで大きなスケールで実験しているのは初めてで驚きました。
Vigyan Ashramではお昼も頂きました。とても美味しい「カレー」でした。
この写真は、食後の片付けの様子なのですが、残飯、洗った水も貴重なバイオガスの資源になるので丁寧に洗います。ここで僕は水道を出しっぱなしにして洗っていたら止めるように怒られてしまい、普段いかに水について気にせず生活していたか恥ずかしい思いをしました。
なんだか、小学校の時の林間学校にも似た体験でした。
もちろん、こういった所を訪問した時には、HackerSpacePassportにもスタンプをもらうのを忘れずに!
バイクの動力でコンプレッサーを回し、酸素を発生させるマシンです。治療の時に酸素があると良いが手に入らないという時のために、Pune各地に置きたいということでした。
どこかで見たことのあるものが、、、、と思ったらやっぱりHACKberryでした。女性二人のチームで3Dプリンタを使った義手を作っていましたが、日本で生まれたプロジェクトが海を越えてインドで作られていることに非常に感動しました。
オープンソースプロジェクト、FabLabの意義といった所で非常に素晴らしい事例だと思います。
バスからの風景。草原のところどころにテントの集落がたくさんあることに驚きました。
牛、豚を食べないインドで、鶏は貴重なタンパク源となる食材。このお店の光景はかなりきつかったです。常に命を食べて生きているんだなぁと。食品パックに入った肉しか知らない生活と、この光景。どちらが健全なのかなぁと複雑な気持ちでした。